理事長あいさつ

この度、仙台市職員として在職中からのコペル建設をはじめとした様々なご縁もあり、つどいの家の理事長を務めさせていただくこととなりました。

皆様におかれましては、40年以上にわたり重症心身しょうがい児者を支援する運動とつどいの家の先頭に立ち、現在の到達点を築かれた下郡山前理事長が勇退するという報に接し、種々の不安の念を抱かれておられることと拝察いたします。そのことは、後を託された者としても同様でございますが、利用者ご本人、ご家族、ご支援いただいている皆様に依拠し、そしてつどいの家職員一同の力を最大限に結集して、事業を前進させていきたいと考えています。

昨今、経済的な格差の拡大、移民の排斥やヘイトスピーチ、LGBTをめぐる諸問題等々、残念ながら「分断の時代」ということがクローズアップされていますが、やはり目指すべきは、一人ひとりが個人として尊重され、多様性を認め合ったうえで互いに手を取り合って生きていく社会であろうと思います。

こういう時代だからこそ、つどいの家の基本理念「どんなに重いしょうがいのある人も、地域社会で差別されることなく、いきいきと自立した地域生活ができるよう自己実現の場を保障し支援する」ということが輝きを増していると考えますし、このことを誇りに思って働き、活動していきたいと存じます。

個人の責任を超えた困難な状況を社会全体で支援するという福祉施策の本来的考え方は、現在においても不変のものと考えられます。しょうがい者福祉の分野においては、従来、様々な支援策は行政処分の対象とされ、しょうがい者とそのご家族は、行政措置のいわば反射的利益を受けて暮らす時代がありました。この措置制度は、税で守られてはいるものの、国や自治体の税財源総量や配分の制約等もあり、支援内容が画一的、手続きが煩雑、支援策の総量が増えにくいなどの課題があり、利用のしづらさを生む様々な制約を解消することが必要でした。この喫緊の課題解決のため福祉構造改革が行われ、その際、福祉と公共サービスを縮小して市場に任せることを旨とする新自由主義的な考えもあり、しょうがい者支援施策もサービスという名の日々の出来高払いの制度に変えられてきました。つどいの家の理念や良し、ニーズに応えたい、だからこんな支援をと思っても、資金がなければ実施できません。ニーズを把握し、制度を調べ上げて十分に活用して収入を確保しつつ、それでも足らざるにどう対応するか、必要な支援を提供するための方策をご家族、ご支援いただける皆様、行政の皆様などとともに組み立てる活動を重視して取り組んでいきたいと思います。

新型コロナウイルスが猛威を振るっております。つどいの家においては、感染防御を徹底しながら現時点では何とかほぼ通常通りの運営を維持できていますが、通所実績やホームヘルプサービス等利用実績は低下する傾向にあり、今後万が一事業所の一時休止といった事態が発生した場合には、出来高払いの現行制度の下では経営そのものを直撃します。こうした経営面での緊張もさることながら、何よりも、かつての生活に戻るには長い時間を要するものと考えられ、これから暫くは感染拡大と縮小、行動制限と緩和を繰り返しながら、この厄介な感染症との共存の方途を探っていくことになるのであろうという漠然とした不透明感が、事業運営の困難さを増す大きな要因となっています。重度のしょうがいのある人にとっての「新しい日常」、「新しい生活様式」といわれるものの様々なあり様を模索しつつ、社会の理解を訴えながら日々の活動を展開し、今後予想される第二波、第三波への備えも怠ることのないよう注意深く運営していきたいと思います。

つどいの家をこれまで支えていただいた全ての皆様に深く感謝申し上げ、更なるご指導ご支援をお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。

社会福祉法人つどいの家 理事長 佐藤 清